2004年8月アーカイブ

息子の頭が恥骨にひっかかって、中々外に出られなかった為
長時間のお産となった。
幸い、息子の心拍は下がらず、頭が見え隠れしているにもかかわらず
お腹をぼこぼこと蹴る程の元気の良さ。
出てきたのは巨大児のジャスト3800g。初産で3800gですよ。

そんな長いお産に、ずっとついていてくれた夫。
(院長先生は、分娩台だけの立会いではなく、陣痛中から妻について
出産を夫婦共同で行うべき、と言っている。)
私は、夫の支えの中で無事出産する事が出来、
とても可愛い男の子を授かった。
本当に本当に幸せ者である。

父も結局は夜に再度病院に来て、待合室で一夜を明かした。
自販機のコーヒーを8杯も飲んだとの事。

あまりの長いいきみで、その後は上半身が壊れたものの
母子共に無事退院出来、
現在は新米ママとして育児に明け暮れている。

親となって、「親ばか」の真髄を知った。
ばかと分かっていても、我が子は特別に可愛い。
「りりしい」だの「目がぱっちりね」だの、社交辞令的褒め言葉でも
必要以上に真に受けて、有頂天になってしまうし、
友に送った写メールに「かわいい!」と返事が来ると、
もう、まじに、心から嬉しいのだ。
あの夫(自分にも私にも?厳しい、私とは正反対の
褒められ苦手な打たれてのびるタイプ)が
めろめろに息子を褒めるんだから。

いやはや親ばか結構。親こそばかであるべきである。

子宮口が10cmになるまで、間隔が狭まる痛みと戦いながらいきむのを待つ。
一般的に、子宮口が8~10cmに開く期間に痛みが最も増し、
一分間隔になるので一番辛いと言われている。
多くの妊婦がそう言うだろう。
そして、「10年分の便意を我慢している」と形容されるくらい、いきんではいけない時だ。
それも乗り越え、日付が変わった7月15日、明け方4:00、ようやく分娩台に上がる。
そう、博多の町がいまにも始まらんとする追い山に向かって興奮している時だ。
かき手の男達が声を荒げて気合を入れているだろう。
私の場合、これからが本当の戦いだった。
お産は人それぞれと言うが、私はこのいきむのに4時間もかかってしまった。
当然、この4時間が最も辛い時間となる。

陣痛が弱まっているらしく、促進剤を点滴で打つ。
子宮収縮の痛みが1分間隔で強くおそってくる。それと同時にいきむのだ。
ベッドの横のレバーを強く握り締め、全身全霊を尽くしていきむ!
この作業が4時間も続いたのである。

いきみはじめて間もなく、便が出る。
恐れていた事態だ。
「立ち会う夫に知られたくない」出産前にひどく懸念していた事だった。
それなのになぜか私は、助産士さんに
「今、う〇こ出ましたよね?うん〇。ね?ね?」
あきれてうなずく助産師。
そして夫にも報告。〇んこを連発しているのである。

1分おきの痛みの合間、私は眠るようになる。
そして夢を見ていた。

新鮮な山芋がたくさん冷蔵庫にあったのに、もうない。さては・・・
「とろろ飯にして食べたやろ!」

妙なセリフが分娩室に響く。


7:30を過ぎ、院長先生が入ってくる。救世主に見える。
その前に来ていた女医は
「あなたしか赤ちゃんを外に出してあげられないんだから」と分かりきった事を言うだけで、何の役にも立たない。何もしてくれない。
ようやく会陰を切ってもらえる。私はこれを待ち望むまでに限界に来ていた。
「パチンッ!」と歯切れの良い音。痛みは感じない。

その後のいきみで、ニュル、ニュルンという感触。
お腹がへこんだ!

私は、約10ヶ月間私のお腹で育ってきた生命とようやく対面できる喜びと、
これ以上いきまなくてもよい安堵感で「ひっく、ひっく」と泣いていた。
夫も感激の涙を流している。
ついにこの世に私たちの子供が誕生した。

14:00 夫が到着。早速、おにぎりを2つ買ってくるよう頼む。
夫は立ち会うだけではない。陣痛期間、妻の手と足になって動くのも役目だ。
痛みは5分間隔。ヨガで習った呼吸法「強く吐く」を実践し、痛みを逃す。
陣痛室(分娩前室)には、夫と母と私の3人。
陣痛の度、夫が私の腰をさすってくれ、母が時間を計測する。
立会い文化のなかった昔の男の父は、娘の痛み逃しの「フーッ、フーッ」の呼吸法を聞いて、見ていられないとびびって逃げ出す。自宅待機決定。

18:00 夕食が来る。噂通り豪華で美味。
量は3分の1程度しか食べられなかったが、それでも陣痛の合間、痛みのない時を見計らって口に運んだ夕食は美味しいと味わえた。残りは夫が食べた。

時間が経つごとに痛みも増すが、まだ大丈夫。
「これなら気丈でいられる」とうぬぼれていた。

21:00 さすがに疲れてくる。痛みも増してくる。今まで頼りにしていた呼吸法が役に立たない。
少し休んでお産に備えた方が良いと、助産師さんから精神安定剤をもらう。
それを飲んで私の希望で夫に抱きしめられながら眠る。
が、その間にも痛みは4分おきにおそってくる。

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